教育学部教員コラム vol.110

2017.03.01 こども発達学科 東 卓治

10年間で育まれたもの

去る1月29日に毎年恒例の「室の木コンサート」が開催されました。学科の音楽関係の授業の成果を発表するこのコンサートも10周年を迎えることができました。この10年の間に学科の雰囲気や学生の気質も随分変わったと感じることもありますが、このコンサートでは10年間変わらずに育まれてきたものが二つあります。

一つは聴衆としての学生の意識の高さです。3時間以上におよぶコンサートの間、ほとんどすべての学生が退屈そうにせず、神経を集中させて演目に聴き入ります。同じ学科で共に鍛錬してきたからこそ、発表者の緊張感や喜びに共感できるのでしょう。近年はさらに聴衆の集中力が増してきたように感じています。

二つ目は、楽器演奏を得意としない学生が誇りを持って、生き生きと演奏する姿です。ピアノ等の楽器は高校までの経験の有無がその能力に大きく影響します。大学・短大の学内発表会は演奏能力の高い学生から順に出演させるケースが多く見られますが、このコンサートでは大学入学後にピアノを始めた学生にも演奏の機会を与えています。授業では積極的になれない学生も出演意欲旺盛で、自身が続けてきた努力を誇りに感じて演奏します。聴衆の温かい拍手は、元々持っている演奏能力にだけではなく、大学生活における努力とその結果に対しても送られます。

 

各々が単に高いスキルを目指すのではなく、さまざまなレベルの学生が自身の立場を受け入れ、お互いを尊重し合い、達成感を共有する、これこそがこのコンサートを開催する意義であり、私の教育の意図するところです。

 

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東 卓治(こども発達学科)

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