教員紹介

教育学部教員コラム vol.7

2008.11.06 こども発達学科 鈴木弥生

子どもの労働

現在、世界で2億人以上と推計されている子どもの労働者。地域別に見ると、1億人を超えるアジア地域が最も多く、その中でもバングラデシュ、インド、パキスタン等の属する南アジアが顕著である。子どもの労働者が生まれる背景は一様ではないが、最大の要因は貧困である。子どもの労働者は農村の貧困層出身が多く、家計を支えるために家族労働やインフォーマル・セクターの賃労働を余儀なくされている。この子どもたちが就く職種は範囲が広く、ほとんど成人労働者と変わらないと言ってよい。だが、子どもの労働は成人労働者の従属下におかれ、成人の代替あるいは補助的役割を担わされている。

 

子どもの労働の問題は、子ども自身が人間発達の「子ども」段階を歩めないことである。例えば、労働を余儀なくされている子どもの多くは、基本的人権としての識字を獲得できずにいる。つまり、そこでの社会的不利は、読み・書き・算が出来ないということのみならず、自らが抱える貧困を社会的な問題としてとらえ、それらを変革していく途を阻んでいるということにある。

 

子どもの労働の発生要因が当該国・地域の貧困であることは先に触れたが、日本を始めとする先進諸国主導の大規模インフラ開発が現地の貧富格差拡大や生態系破壊といった新たな問題を引き起こしている。そのしわよせは、とりわけ農村に居住する女性や子どもに及んでいる。今日では、有名ブランド商品のジーンズや運動靴製造工場でも、農村出身の子どもたちが長時間・低賃金労働を強いられてきたことが明らかになっている。第三世界で生じるさまざまな問題は、われわれと決して無関係ではない。

 

1990年代以降、ILOの児童労働撤廃国際計画(IPEC)やNGO・NPOによるキャンペーンが各国で実施されている。日本でも、「児童労働反対世界デー(World Day against Child Labour)(6月12日)」に関連してイベントが行われているほか、現地報告会、記録映画上映、写真展等も開催されている。関心のある学生たちに紹介したり、ゼミ学生と一緒に出かけたりしているが、これらの問題をさらに理解するためには、先行研究の検討や現地での実態調査が不可欠である。

 

↑バングラデシュの首都ダカで紙屑等を収集している子どもたち。

撮影許可を求めると「Kushi(嬉しい)」と笑顔を覗かせた。

 

鈴木弥生(人間発達学科)

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