教育学部教員コラム vol.12
2009.01.22 こども発達学科 山下俊幸
近年、大学の授業改革が言われています。カプセル化した大学の授業という批判に答えるべく、私は“わかりやすく楽しい授業”に加えて“今と社会”を教室に持ち込むことを心がけています。「国語」(A)(B)の授業での試みを紹介します。
「国語」の授業では、次の3つの「国語」について学んでいます。
・母語としての「国語」…文化・歴史的な言語として、社会・文化的な視座をもつ。
・日本語としての「国語」…日本語としての特質と日常使用言語の相対化を図る。
・教科としての「国語」…小学校でどのように「国語」を教えるかという視点をもつ。
2回にわたって文章論を取り上げ、説明的文章の読み方のテキストとして、最近話題の田母神俊雄氏の論文(11月11日付け産経新聞に掲載された広告より)を読解しました。内容についてはあまり疑問をもたなかった!学生も、反語の題名や段落の連接関係を調べていくうちに、転換の接続詞が多用されていて論理的な構成になっていないことに気づいたようです。さらに、補助資料として11月13日付けの朝日新聞の記事「私の視点−空幕長論文問題」を取り上げ、学識者三氏の論文を併せて読んだことで、内容的にも問題があることが理解できたようです。新聞を授業に取り入れるNIEの実践を大学でも導入したのですが、“論文を読む”という授業のテキストとして大いに効果があったようです。
以下は、学生の「振り返り」(11/28)の一部です。
・私が、今日の授業で田母神さんの論文しか読んでいなかったのなら、間違いなくこの人の考えを鵜呑みにしてしまったと思いました。これからたくさんの論文を読み、鵜呑みにしないで一つの考えとして受け取ることができるようになりたいです。
・前回に田母神さんの文章を読んだだけでは、何がいけない文章なのか解らなかった。しかし、今回、授業で文章論を聞いて、また志方さんや北岡さん、唐沢さんの文章を読んで、色々解ってきた。自分もレポートを書く時に色々気を付けたいと思った。
これらの感想を読んで、関東学院大学の学生の意識のノーマルさに安心するとともに、学ぶ姿勢の表れと社会への認識の広がりを心強く思いました。
これからも、学生の睡魔に負けない?!授業を心がけるとともに、「国語」の授業を通して学生の国語力、認識力を育てるべく授業改善を図っていきたいと思います。
山下俊幸(人間発達学科)