教育学部教員コラム vol.22

2009.11.05 こども発達学科 小泉秀夫

平潟湾から宇宙へ-わかったつもりへの戒め-

金沢八景駅から室の木まで平潟湾沿いに来る時、当たり前のことであるが時間によって潮が満ちていたり引いていたりを目にしながら歩くことになる。それまで山の上にある職場に通っていたので、海沿いに歩くことは新鮮であり、自分が見ていることが宇宙の営みにつながっているんだという感じがわいたことを思い出す。ところで、子どもの頃から潮の満ち干は月の引力でおこるという説明を聞いてきた。ただその説明でずっと納得できなかったことは、潮の満ち干は一日2回あるということである。月の引力に海の水が引かれて満ち潮になるなら、満ち潮は一日一回ではないのかという疑問である。それを解き明かしてくれたのは遅まきながらしばらく前に観たNHKの番組であった。

 

地球の周りを月が回る時、地球も月の引力の影響でゆれるということである。番組では砲丸投げの室伏選手が砲丸を回している。その時砲丸は室伏選手の周りを回るが、室伏選手も一点に留まって回しているのではなく、砲丸が飛びだそうとする遠心力に抗して、砲丸を回す自分の軸もゆれて回っているのである。そして月の反対側つまり室伏選手の背中側ではそのゆれの遠心力の影響を受けているということである。その遠心力で月の反対側の海も満ち潮になるという説明であった。砲丸投げがモデルとして完全かどうかはわからないが、私としては納得の度合いが深まったことは確かであった。先日、雑誌ニュートンの別冊号(2009年10月)に、地球も月の万有引力を受けて「地球と月の重心」を中心にまわっているという記載があった。その重心は地球の中心から地球半径の4分の3あたりの場所だということである。地球は自転をしているということは当たり前のこととして教えられもし考えてもきたが、実は地球の中心を軸に回っているのではなくその重心を軸にして、ある意味では揺れて回っているというのであった。まだまだ自分の理解が十分とはとても言えないが、番組や雑誌の説明と重ね合わせて、私の中では前よりは理解が進んだといえようか。

 

教育の営みの一つは子ども達に「分かる」面白さや実感を伝えていくことといえよう。しかし分かったと思っていたことが当たり前でなく、物事の一面の理解や説明に留まっていることはしばしばあることである。心したいと思う。

 

小泉秀夫(人間発達学科)

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