教育学部教員コラム vol.39

2011.03.03 こども発達学科 小泉 秀夫

野島の筆子塚

夕照橋を渡って、右手の奥に「染王寺」(元は善應寺ということから、ぜんのうじと読む)がある。立派な門のあるお寺である。先日、総合演習の授業で、町の探検ということで野島の方へでかけ境内に立ち寄った際、山門を入ってすぐ左手に「筆子塚」を見つけた。筆子とは「寺子屋」(「手習い塾」ともいう)に通う生徒のことで、「筆子塚」とは、「寺子屋」の弟子たちが師匠に感謝して建立したものである。日本各地にある。染王寺のことを紹介してある資料によると、元禄元年(1688年)から享保16年(1731年)にかけて住職に教えてもらった筆子たちが建てた追善供養塔ということである。それらは4基あり、2基は染王寺、2基は明治40年に染王寺と合併した「正覚院」の住職に由来するものという。それぞれの供養塔に「施主・手習い子」とあるというから、筆子たちが師匠である住職に感謝して建立したものといってよい。なお、「筆塚」と銘がある新しい塔がある。これは昭和56年建立で、染王寺での書道塾の塾生たちが、江戸時代の師匠の顕彰のために立てたものという。

 

学院のある八景の地は、古くから学ぶ意欲をもった人たちが生活していたと思うと嬉しいとともに、改めて「学ぶ」ことへ背中を押される思いである。なお、このコラムの執筆にあたり快く資料を提供して下さった染王寺現住職に深く感謝します。

 

小泉 秀夫(人間発達学科)

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