教育学部教員コラム vol.62

2013.01.31 こども発達学科 所澤 保孝

世界最古の花

皆さんに「世界最古の花を見に来ませんか?」と言ったら、きっと皆さんは「そんなのドライフラワーでしょう」「生きている世界最古の花なんか見られっこないよ」って言うに違いありません。ところが、実は、ここ関東学院大学の池では毎年みごとな大輪の世界最古の花が咲いているのです。その花は淡いピンクのハスの花で「2000年ハス」または研究者の名前を取って「大賀(オオガ)ハス」と呼ばれています。
このハスは以前関東学院大学で生物学を教えておられた大賀一郎博士が1956年に千葉市検見川の地下6メーターにある縄文時代の泥炭層から発掘された三粒のハスの実を発芽育成して、困難の末に、1952年に奇跡的に一粒だけ発芽に成功されたものなのです。この時アメリカのライフ誌はこの成功を「世界最古の花・生命の復活」と報道しました。
大学の元々の大賀ハスは残念ながら一度絶滅してしまい、現在のハスは工学部の村山教授のご尽力で大賀博士ゆかりの東京都府中市・大賀ハス管理会議から蓮根を分けてもらったものです。
縄文時代の泥炭層の中からハスの実を発見し、2000年以上の深い眠りからみごと現代に目覚めさせた大賀一郎先生の一生を捧げたハスの研究の結晶と言っても良いでしょう。関東学院大学の校章がオリーブの葉で平和を表しているように、蓮の花もまた平和の象徴であり、大賀博士のハスの研究には博士の平和への強い願いが込められていたに違いありません。大賀博士は授業の中で常々学生たちに「人はどんなに小さい事でもいいから、何かを続けることが大切である。積み重ねる事により、自分にとって何が天命であるか分かってくるし、それが後世に残るという結果になる。それが私にとってはハスの研究であり、私は50歳になってこれが自分の天命だと分かったんです。」と話しておられたそうです。
毎年8月上旬に六浦キャンパス・オープンチャーチの池にピンク色の大輪の花を咲かせています。まさしく縄文時代から現代にタイムスリップした世界最古の花。この花の命をみごとに復活させた大賀先生の生き方も現しているようなハスの花をご覧になって、縄文の時代に思いをはせてみませんか。

 

 

 

 

所澤 保孝(人間発達学科)

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