教育学部教員コラム vol.109

2017.02.01 こども発達学科 鈴木 公基

“医療的ケア児”を知っていますか?

“医療的ケア児”ということばを知っているでしょうか?

おそらく、知らない人がほとんどでしょう。それもそのはずです。これまで医療的ケア児は、一般的な保育園や幼稚園・小学校などに通うことはほとんどありませんでした。そのため、その存在が知られる機会も非常に少なかったのです。

医療的ケア児、というのは日常的に人工呼吸器をつけていたり、たんの吸引などの医療的ケアが必要なこどものことです。2016年の厚生労働省の推計(中間報告)によると全国に1万7千人いるといいます。

医療行為をすることは、医師や看護師、また、こどもの親にしか許されていません。医師や看護師がいる保育園や学校は希ですので、医療的ケア児が発達に応じた適切な保育や教育を受けるには大きな困難があるというのが実情です。

医療的ケア児が、多くのこどもたちと同じように保育を受けたり、教育を受けたりすることができないのは仕方のないことなのでしょうか? いえ、そんなことはないはずです。医療的ケアが必要だからといって、保育や教育の機会が奪われてよいわけがありません。保育や教育施設が、そして、社会全体が医療的ケア児を受け容れることができるような工夫をしていく必要があるのではないでしょうか。

私のゼミナールでは、2016年度に医療的ケア児の支援について積極的な活動を行っている栃木県の認定NPO法人「うりずん」を訪問し学びを深めました。医療的ケア児やその家族が社会のなかで生きてゆくうえでの様々な壁についても知りました。まさに、これから社会がいかに変わってゆくことができるのか、が課題だと実感しました。

すべてのこどもたちがひとしく幸せになれる社会を目指していくうえで、教師や保育士になろうとしている人たちにも、医療的ケア児を是非とも知ってもらいたいと思っています。

さらに、そのようなこどもたちのためになにができるのか、を一人でも多くの人が考えてくれるのであれば、それは、医療的ケア児やその家族にとっての、また、社会にとっての大きな希望となるでしょう。

 

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医療的ケア児の支援をおこなっている認定NPO法人「うりずん」を訪問した際の一枚。下段中央が理事長の髙橋昭彦先生、左がスタッフの山﨑あゆ美様。後方にはこの施設に支援をしてくださっている方々の「感謝の木」があります。

 

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認定NPO法人「うりずん」訪問時の記念撮影

 

鈴木 公基(こども発達学科)

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