教育学部教員コラム vol.123

2018.04.01 こども発達学科 久保 健太

起りそうなことの共有

昔のまちには「縁側」がたくさんありました。

縁側は「何かをするための空間ではないが、何でもできる空間」です。

 

将棋を指している人もいれば、縁台を持ち出して夕涼みをしている人もいる。

井戸端会議に興じている人もいる。

 

さまざまな営みが同時進行していました。人は、それらの営みに出入りして、

ある営みが膨らめば、別の営みが縮み、ある営みが縮めば、別の営みが膨らむ

――そんなリズムの中で生きていました。

 

営みが同時進行していること。それらの営みへの出入りが気楽にできること。

私は、この二つが、どうしたら両立可能になるのかを調べています。

同時進行する複数の営みが、互いに閉鎖的になり、気楽な出入りが許されない

場合も多いからです。

 

将棋も、夕涼みも、井戸端会議も、同じ太陽の下で、同じ風に吹かれながら、

同じ物音を聞きながら進んでいること。一つの音で塗りつぶされていないこと。

それらのことがとても大事だと考えています。昨年2月に出した本では、

それを「『起きていること』と『起きちゃったこと』の共有」と呼びました。

それらの共有があると「起こりそうなこと」が共有されてくるのです。

 

しかも排他的にならずに共有されます。いままとめている本では、

そのあたりのことを、より詳しく調べる予定です。自分でも楽しみです。

 

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