教育学部教員コラム vol.124
2018.05.01 こども発達学科 城倉登代子
臨床心理学を専門とするので、ゼミナール活動でも様々に「こころ」を見つめる活動をしている。
心理検査を実施したり、治療法を体験したりする。
その中で今回は、夏休みにゼミ生の希望で実施した活動について触れたい。
高野山東京別院での「阿字観実修」に、ゼミナールで参加した。
これは真言宗の瞑想のことで、言わば座禅のイメージ。
阿字観とは、総合仏教大辞典(1987,法蔵館)によれば
「密教で宇宙人生を阿字におさめて、一切法がそれ自体において根本的であり
生滅しないものであるという本不生の理を観ずること。菩提心の観想」
である。
説明を聞いた後で、本堂に移動する。塗香を経ると、そこは別世界。
荘厳な本堂の静寂の中で、指示に従って所作し呼吸し発声していく。
特別なことをするのでなく、自然と無心になるということか。
私にとっては、思いが流れるような「走馬燈」のような体験であったと言える。
「せねば」でなく、思いが自由にあるような不思議な時間であった。
さて瞑想を終えて、掛けてあった曼荼羅に密教らしさを感じた。
学生のレポートに、「一つのことに集中することによって、一時的に悩みや考えを
忘れることが出来た。常にストレスを抱える状況より良いと考える。」とあった。
臨床心理学とはまた違う次元で心を深く考えることになった、夏の活動だった。