教育学部教員コラム vol.3
2008.07.17 こども発達学科 東 卓治
去る5月31日に本学で上演したオペラ、
モーツァルトの「フィガロの結婚」で、
人間発達学科のコーラスグループ「うたい隊」が
合唱としてオペラに初挑戦しました。
ソリストにはプロの演奏家を招き、
私はフィガロ役と演出を担当しました。
本番のうたい隊はソリストに引けを取らない出来栄えで、
お客様からも高い評価をいただくことができました。
とはいえ学生たちにとっては初めてのオペラ、
練習を始めた2月頃は慣れないイタリア語と舞台演技に、
頭の中は「?」マークが渦巻いているようでした。
しかし、全身を使って舞台で感情表現をすることは心を豊かにする作業であり、
これこそ保育者を志す彼らにとても必要なことなのです。
これは私自身が高校3年からオペラの勉強を始め、
人格が変わったように心が解き放たれた経験から実感していることです。
学生も練習を重ねるうちにこのことを理解し、
積極的に取り組む姿勢が芽生えてきたように見受けられました。
4か月間の練習を経て到達した彼らの堂々たる舞台姿は、
予想を超えるものでした。
日ごろ指導している私が気付かないうちに、
彼らは大きく成長していたのです。
頑固者であろう私の指導に黙々とついてきて、
本番に向けての準備などでも大きな力になってくれた彼らには
感謝の言葉しかありません。
うたい隊は2003年に結成しました。
学生活動の宿命でメンバーはどんどん入れ替わっています。
今回の素晴らしい舞台は、もちろん現在のメンバーの努力の結晶なのですが、
一方ですでに卒業した過去のメンバーの活動とも切り離せないように思っています。
過去6年間の努力の積み重ね無しには
この水準は実現しなかったと感じたのです。
『メンバーが入れ替わっても努力は蓄積される』・・・
だからこそ集団の個性や伝統が育まれるのでしょう。
フィガロの舞台の中に卒業生の顔が浮かんだように、
今回の素晴らしいメンバーの努力が時を経て実を結ぶような活動を、
これから出会うであろう未来の学生諸君としていきたい!と感じています。
東 卓治(人間発達学科)