教育学部教員コラム vol.44

2011.08.25 こども発達学科 所澤 保孝

子どものケンカから

「先生、シン君とユウ君がケンカしてる」。子ども達からのこのような報告は幼稚園・保育園・小学校では日常茶飯事です。子どもたちはケンカから多くのことを学ぶとはいえ、先生達にとっては直ぐに対応せねばならない、時には深刻な問題です。

 

私達一人一人の人間は社会の中で生きており、環境との相互作用によって成長や発達をしてゆきます。また、動物としての人間は強い闘争本能を持ち、自分の生活領域を守ったり、欲しいものを手に入れたり、感情を害されたりする時に闘います。私たちは言葉によるコミュニケーションができますが、他の動物とは異なって、時には人間同士殺し合うまでに闘いがエスカレートしてしまうこともあります。

 

日常、私達は子ども達に何気なく「仲良くしようね」といいますが、人類に秘められた闘争本能とある種の歯止め機構のなさを考える時、これは社会性を育む大切な教育の第一歩であると言うことができます。子ども達の社会性を育むには、「お互いの理解」、「相手への共感性の形成」、「問題解決方法」「自分の感情のコントロール」、「コミュニケーション・スキルの獲得」等の学習が不可欠ですが、それらを具体的かつ系統的に教えてゆくための教育プログラムはそう多くありません。セカンド・ステップ・プログラムはアメリカの「Committee For Children」が子どもの暴力防止教育プログラムとして開発したもので、子ども達の社会性の育成や情緒を育む教育を目的としています。

 

私たちのゼミナールでは、将来幼稚園や保育園の保育者及び小学校の先生になることを希望している学生達のために、このプログラムについての学習、実践の方法、実施上の課題などについて皆で学んでいます。特に演習の時には、学生も子どもに帰って、お互いに考えを出し合い、楽しく演習をしています。

 

所澤 保孝(人間発達学科)

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