教育学部教員コラム vol.65

2013.04.25 こども発達学科 帆苅 猛

関東学院と会津

今年のNHK大河ドラマ(毎週日曜日夜8時放送)の主人公は、会津出身の女性山本八重(のちに新島八重)です。山本八重は、のちに京都で新島襄と出会い結婚します。新島襄はご存知の方も多いと思いますが、山本八重の兄、山本覚馬と協力しつつ同志社大学を創設いたします。
関東学院大学も会津と少なからぬ関係を有しています。関東学院の第三の源流となった中学関東学院(1919年設立)の創設に尽力し、初代学院長として現在の関東学院の基礎を築き、校訓「人になれ 奉仕せよ」を定めた坂田祐(さかたたすく)も会津藩の子弟として生まれます。坂田祐の祖父は日向内記(ひなたないき)と言い、会津藩白虎隊二番隊隊長(隊士の多くが飯盛山で自刃を遂げた)を務めた上級武士でした。坂田は内記の長女であるミエを通して会津武士としての教育を受けて育ちました。厳しい生活の中で勉学を志し、30代になって東京帝国大学を卒業して教師となり、中学関東学院を設立します。
学院長になった坂田が故郷である会津を訪れ、祖父が隊長を務めた白虎隊を記念する「白虎隊記念館」を訪問したとき、「隊長の日向内記が行方不明になったため」残された年若い隊士たちが自刃を余儀なくされた、といった放送を聞き、近親者として恥ずかしい思いをしたとのことです。そして坂田は、この件について「是非とも詳細の研究を願いたい」と、彼の著書である『恩寵の生涯』に書き残しておりました。
そこで、関東学院大学の「キリスト教と文化研究所」が中心となって何度か会津に足を運んで調査研究を重ね、さまざまな方々のご協力を得て、シンポジウムや研究会を開催しました。その結果、坂田の祖父、日向内記は隊士たちを放置して行方不明になったわけではない、ましてや、戦場から逃亡したのではないとの確証を得ることができました。そしてさらに、白虎隊記念館の中に、館長の早川氏のご尽力を得て、より多くのスペースをいただいて白虎隊隊長日向内記および関東学院と坂田祐についての展示をすることができました。
今年の大河ドラマ「八重の桜」の中でも白虎隊が登場するものと思われますが、どのように取り上げられるか期待をしております。

 

 

帆苅 猛(人間発達学科)

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