教育学部教員コラム vol.71

2013.10.17 こども発達学科 黒田 篤志

一気に読んじまっただ ー 「帰れない ヨッパライたちへ」生きるための深層心理学 きたやまおさむ (NHK出版)

このタイトルをご覧になって,「ははーん」と思われるのは,50歳以上の先輩方でしょうか。私は,夏休みの最後に,一日かけて,この新書を読みました。新書ですから,量的には,さほど負担にならない頁数です。しかし,質的には,とても満足感を与えてくれる内容でした。以前から,作者の「北山修」氏に対して,そのお名前や,九州大学の先生であったこと,映画「ヒポクラテスたち」にチョイ役で出演していることなど,断片的な知識として私の中にありました。
今回,本を読んでみて,改めて知ったことがあります。ザ・フォーク・クルセダーズが,和製ビートルズと呼ばれていたこと,北山氏が,ビートルズの影響もありロンドンに留学されたことなどです。
ビートルズは,その時代の波に乗り,マルチな才能を存分に見せつけましたし,北山氏も,医者,作詞家,研究者,作家とマルチな才能を存分に世に示しています。北山氏にとって,ビートルズは,永遠のライバルなのです。
この本は,誰もがもつ嫉妬の感情を見つめ,それぞれが,それをいかに調整するかを説いています。世の中の大部分の人は,小さなことを達成し,小さな自信を積み重ねることが重要だと考えます。そこで,自分の成し得たことは小さいことだと謙虚に振る舞えば,嫉妬されることはありません。逆に,自慢してしまうと,小さな成果すら評価してもらえなくなってしまいます。しかし,フォークルは,大きなことを達成し,世間から嫉妬の眼差しで見られることになります。決して,フォークルが謙虚でなかったわけではないでしょう。いや,きっと大学生としての成功に,ただただ驚いていたに違いありません。だから,和製ビートルズという最高の称号を与えられたのだと思います。彼らが偉そうにしていたら,世間の目は,嫉妬のみになっていたでしょう。

 

 

 私自身,偉そうには言えませんが,接する学生の皆さんには,日々,真摯にやるべきことをやり,謙虚に人に対応するという姿を学んでいただきたいと思っています。
大学生の間には,多くのことを経験できます。学問,部活動,アルバイト,ボランティア等などです。そういう意味で,大学生は,世の中からマルチな才能を開花させる多様な場所を与えられていると言えます。ビートルズが,世に出たとき,一番若かったジョージ・ハリスンは,みなさんとほぼ同じ年でしたし,北山氏が,「帰ってきたヨッパライ」を世に送り出したのも,大学生の時でした。
これから大学生になる高校生の皆さん,現在,大学生の皆さん,今から大学に戻ろうとしているヨッパライの皆さん,大学で真摯に謙虚なマルチ人間を目指しませんか。

黒田 篤志(人間発達学科)

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