教育学部教員コラム vol.73

2013.12.12 こども発達学科 鈴木 秀雄

他の人を思いやる「優しい心根」を育もう!

仏教には「忘己利他(もうこりた)」やキリスト教には「善きサマリア人」という教えがある。それぞれが、我を忘れて他者に尽くすことであり、困っている人があれば手を差し延べる他者への思いやりを意味している。
不確実で不安定な時代といわれる昨今、自身を取り巻く厳しい環境は他者や相手の立場を慮(おも)んぱかる余裕はなかなか生まれてこないのかも知れない。しかし自身の幸せを考えるなら遠回りになるのかもしれないが、他者や社会に対して善いことをすることは、自身の心を豊かにしてくれる本源であり、そのことが自身の大きな幸せを実感することができる一つの道でもある。
例えば、優先席が公共の乗り物などに用意されているが、本来は特定の場所に優先席などを必要としない。どの座席も必要に応じて困っている人がいれば、席を譲れる人が譲ることが第一義である。どこの席も必要により優先席になり得る状況が存在していなければならい。しかし、そうならなければ特定の場所を決めて席(優先席)を創らざるを得ない必要性もまた生じてくる。「優先席」そのものの存在が、その国の文化度を指示しているのかもしれない。人を思いやる「優しい心根」が、その個人、家庭、学校、地域、国の文化度にも対応し、関係してくるといえる。
今年も、アウトドア活動・マリンスポーツフェア2013(会場:神奈川県立辻堂海浜公園および辻堂海岸)を開催した。子どもや家族で参加し楽しむことができるアウトドア活動やマリンスポーツの体験事業を実施することを目的としているが、もちろん参加無料であり、多くのボランティアの支援により実施が可能となっている。現代社会にあって共同社会で生産・自治・風俗・習慣などで深い結びつきをもつ人々が、共に生きる社会のなかで実施する「コミュニティスポーツが果たすべき地域社会での運動習慣の社会化」が重要と考え、地域社会の諸団体の協力など、また行政、NPO,関係団体等、14団体が実行委員会を構成し実施したが、多岐にわたる活動内容の「アウトドア活動・マリンスポーツフェア2013」を実施することができた。関係諸団体が、さらなる横への広がりと絆を構築することも活動(フェア実施)の目的に含まれている。
その実行委員長を引き続き今年も務めたが、多くの関東学院大学の在学生、卒業生のボランティア協力も得ての実施であった。
まさに“他の人を思いやる優しい心根”を発揮してのフェアの実施となった。来年(2014年)度は、同会場での4月27日(日)の開催予定である。多くのボランティアの支援と多くの市民のフェアへの参加を期待したい。

 

 

 

 

鈴木 秀雄(人間発達学科)

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