教育学部教員コラム vol.74

2014.01.09 こども発達学科 鈴木 公基

心理学の卒業研究

12月,1月という時期は,人間発達学科では卒業研究の追い込みの時期です。スタートをうまく切って,マイペースでこの時期に突入することができる学生はごく少数で,ほとんどの卒論生は必死のラストスパートをします。人間発達学科では,教育・保育・健康・福祉とさまざまな領域の卒業研究が行われますが,私の領域である心理学の卒業研究は,他の領域とはひと味違った緊張感が漂います。
心理学の卒業研究では,主に人間を対象としてデータが収集し,それについて分析を行います。そのため,データを収集する前に,しっかりとした準備をしておく必要があります。どのようなことを知りたいのか,そのためにどのようなデータが必要なのか,分析はどう進めていけばいいのか,といったことを事前に丁寧に(できるだけ正確に)計画していかなければなりません。ここでの計画にミスが生じると,収集したデータ全部が台無しになってしまう,ということがあるからです。そのため,アンケートや実験などによってデータをとる前は,かなり神経質になってその準備をします。卒論生の雰囲気がぴりぴりとする第1のピークです。
さらに,データを収集したらそれを分析しなければならないのですが,ここでぴりぴりの第2ピークが訪れます。心理学では統計を使ってデータ分析を行うのですが,そこで「*(アスタリスク)」というものが結果についてくるかどうか,ということで最終的な卒業論文の方向性が決まります。アスタリスクが結果につけば,自分の考えや予想がまちがっていなかった,ということで,いい気分で卒業論文の仕上げにかかることができます。一方,アスタリスクがつかない無印であった場合,卒業論文の仕上げには反省文(?)を書く,ということになります。つまり,自分のまちがっていたところや至らなかったところを書いていかなければならないのです。統計分析で結果を出力するとき,ひとつひとつのクリックがドキドキになります。
そして最後のぴりぴりは締切直前です。提出間際にトラブルはつきものです。プリンタが詰まったり,インクがきれてしまったり,清書した原稿が保存されていなかったり・・・。時間と闘いつつ,どうにかして卒論が仕上がる,ということになります。
このようなスリリングな卒業研究ですので,途中で,パニックになる人,無気力になる人,泣き出す人,怒り出す人・・・。その人のいろいろな姿が見えてきます。とはいえ,苦労が多いほど,卒業研究は思い出深いものになるのは確かだと思います。心理を学ぼうとする人は,そのような卒業研究のぴりぴりとスリルとを味わうこともひとつの楽しみにしてはいかがでしょうか。

 

 

鈴木 公基(人間発達学科)

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