教育学部教員コラム vol.89
2015.03.12 こども発達学科 小原 豊
「荘子」秋水篇にある「用管窺天」(管を用いて天を窺う)とは、細い管の穴から覗いて見えたものが天だと思い込んでしまうように、自らの狭い視野と乏しい見識によって一面的な判断を下すことへの戒めです。浅慮や不見識で世界の一部を恣意的に切り取ってしまう危うさを自覚できたとき、人は自らの視野を広げたい、教養を高めたいと心から欲するのでしょう。その一つの機会が異文化体験だと考えています。
下の写真は、今年の2月、アジア太平洋経済協力(APEC)の授業研究プロジェクトに参加するために来日したタイ王国の数学教育関係者102名が、横浜市や横須賀市の小学校を視察した後に、関東学院大学を訪れた際のものです。本学からは人間発達学科の山下俊幸先生、教育支援センターの遠藤健次先生、そして小職及び人間発達学科学生有志の皆さんが参加し、アジアにおける初等教育と教員養成について、日本とタイを事例として率直に話し合う貴重な機会を持つことができました。
横浜市には現在約8万人の外国人の方々が住んでおり、国際都市の名の下に多文化共生の街づくりが進められています。こうしたグローバル化を迎えた21世紀共生社会への対応として、関東学院大学においても世界中の多様な人々と協働できる人材育成に取り組み、海外留学や国際交流を積極的に推奨しています。学生の皆さんは、ぜひ若いうちに洋々たる世界に目を開き、視野を大きく広げて下さい。
小原 豊(人間発達学科)