教育学部教員コラム vol.121
2018.02.01 こども発達学科 東 卓治
昨年の暮れにオペラ「不思議の国のアリス」に出演しました。
オペラは1600年頃にイタリアで生まれ、ヨーロッパを中心に発展してきましたが、
このオペラは現代の日本の作曲家である木下牧子氏によるものです。
木下氏は合唱曲の分野で親しみ深く美しい曲を数多く作曲されており、
プロからアマチュアまで幅広い支持を得ています。
このオペラの楽譜はとても難易度が高く、小節ごとに拍子が変わったりする上、
和音が複雑なため音程を取る難しさも超絶的です。
ところが、お客様にはそのような難しさよりも合唱曲に通じるような
美しさや親しみやすさが伝わるという不思議な音楽です。
2年前に上演をしており、今回は好評につき再演ということで、
二度とも王様役で出演することができました。
王様といっても女王様の尻に敷かれているタイプで、気は優しく少し滑稽という
特色のある王様でしたので、とても演じ甲斐のある役柄でした。
また前回同様、木下氏が直々においで下さり、作曲家ご本人の前で演奏できた
ということも大変意義深いことでした。
音楽分野は演奏研究を行って舞台で発表する演奏家と、音楽学を研究して論文などで
発表する楽理系とに分けることができます。
このような誰にでも知られている親しみある物語を演じながら研究できることは、
演奏家の醍醐味といえるかもしれません。