教育学部教員コラム vol.148
2020.06.26 こども発達学科 黒田篤志
関東学院大学のキャンパスには,何か所かアジサイが咲いている場所があります。下の左写真は,教育学部のある3号館の横にあるアジサイを撮影したものです。アジサイ(学名 Hydrangea macrophylla)は、アジサイ科アジサイ属の一種です。
アジサイは,育っている土壌のpH(酸性度)により花の色が変わります。一般に,土壌が酸性を示すならば青色,アルカリ性を示すならば赤(ピンク)色になります。小学校の理科実験で使用したリトマス試験紙は,酸性ならば赤色,アルカリ性ならば青色を示しますので,アジサイとは逆になります。
少し詳しく説明しますと,アジサイの変色は,花の中にあるアントシアニン系の色素と土壌にあるアルミニウムの結合が問題となり,アルミニウムが根から吸収されやすいイオンの形になるか,ならないかが関係しているのです。土壌が酸性だとアルミニウムがイオンとなり土の中に溶け,アジサイに吸収され,アントシアニンと結合し青変します。逆に,土壌が中性やアルカリ性だとアルミニウムは溶けずにアジサイに吸収されず,花が赤(ピンク)色になるのです。もし,皆さんが青色の花を咲かせたければ,土壌を酸性に,赤(ピンク)色にしたければ,土壌を中性~弱アルカリ性にすればよいわけです。
アジサイは,七変化と呼ばれることもあります。例えば,咲き始め淡い黄緑色の花が、やがて青くなり、さらに赤くなり、最後は緑になるという具合です。下の左写真には,開花時期により色の変化があるアジサイを見ることができます。
最後に,アジサイには,子どもの顔があります(下の右イラスト)。冬になると,アジサイの冬芽の根元に葉痕が見られ,それが子どもの顔のように見られるからです。
身近なアジサイには,四季を通して観察できるポイントがあり,楽しめる植物と言えるでしょう。
イラスト引用: 遠藤純夫(1989)「校庭ウオッチング③アジサイ」『理科の教育』第38巻,第6号,48-49.
(教育学部・黒田篤志)