教育学部教員コラム vol.164

2021.10.26 こども発達学科 伊藤 賀永

『コロナ禍で改めて明らかになった保育園と小学校の役割』

昨年初めから新型コロナウィルスCOVID-19(以下コロナと呼ぶ)が世界中で猛威を
振るい、未だ終息の兆しが見えません。9月30日現在の世界の感染者数は2億3325万4926人 、死者数は 477万4173人で、この大学がある横浜市の総人口より約100万人多い方々がコロナで亡くなっています。
皆さんもご存知のように、昨年4月~5月に第1回非常事態宣言が発出されました。その時は、幼稚園を含む全ての学校が一斉休校になりましたが、保育園だけは「保護者が働いており、家に一人でいることができない年齢の子どもが利用するものである」(令和2年5月14 日の厚生労働省子ども家庭局保育課の事務連絡より)という理由から、一斉休園になりませんでした。私たちの社会や生活を支える公共的な基盤や仕組みを社会・生活インフラと呼びますが、それらを支える仕事に従事している保護者にとって保育園は欠くべからざるものであり、保育園それ自体が社会インフラの一翼を担っていることが改めて意識されました。
他方、一斉休校になった学校、特にこの学部と関係が深い小学校はどうだったのでしょうか。このことに関して、昨年度のゼミの学生が小学校の公式ホームページから第1回非常事態宣言中の先生方の活動を調べて卒論にまとめました。それによると、先生方は学習面の支援はもとより、子どもたちの安全と安心を確保するために、休校中にも拘らず、学校に緊急の居場所を作り、個別面談、電話相談、家庭訪問等を通して、常に子どもたちの状態を把握して、支援に務めていました。そして、心のケアや虐待リスクの回避が必要な場合は、専門機関と連携しながら、積極的な役割を果たしていました。学生が調べることができたのは横浜市と川崎市の数校でしたが、先生方の奮闘ぶりは全国のどの小学校でも見られたことは想像に難くありません。一斉休校であっても、先生方の教育活動は継続され、しかも通常以上の熱意と献身によって子どもたちの命と生活が守られていたことがわかりました。第2次非常事態宣言以降学校が一斉休校になることはありませんが、この時の経験ゆえの判断ではないかと私には思えてなりません。
保育園や学校には様々な役割が課されています。コロナ禍においては、子どもに安全と安心の場を提供し、それによって社会全体の安全を保障するという、まさに社会インフラの側面が改めて浮き彫りになったように思われます。同時に、保育者と教育者の社会的使命、責任の大きさ、仕事の尊さ等を再確認する機会ともなりました。
コロナ禍による不安で混乱した時代が早く終わり、平穏な日々が戻ってくることを願ってやみません。

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