教育学部教員コラム vol.165

2021.11.24 こども発達学科 西川 健二

「当世若者気質」

成年年齢が2022年4月から18歳に引き下げられます。2022年4月1日の時点で18歳、19歳の方は、この日から新成人となるわけです。このことでどのような変化があるのでしょうか?

喫煙、飲酒、競馬・競輪などの禁止はこれまで通り20歳までと変わりはありません。変わることは次のようなことです。

【契約】

・携帯電話の契約やローンを組むこと、クレジットカードをつくること、一人暮らしの部屋を借りるなどのこと

【パスポート】

・10年有効のパスポート取得

【結婚年齢】

女性の結婚可能年齢が16歳から18歳に引き上げられ、男女とも18歳に

【性別の取扱い】

・性同一性障害の人が性別の取扱いの変更審判を受けられるようになる。

他にも様々な変化はありますが、該当の年齢の皆さんはまだあまり実感がないのではないでしょうか。

さて、この成年年齢の引き下げに先立って、選挙権もすでに引き下げられています。先の衆議院議員選挙では若い人の投票率の動向も盛んに報道されていました。今回は18歳の投票率は51.14%、19歳の投票率は35.04%、18歳と19歳の投票率は43.01%で、前回から2.52ポイント高くなりました。今回のコロナ禍を受けて若者の政治への関心が高まったのではという分析がなされています。

一方、次のような調査にも目が留まります。(平成30年「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」内閣府より)

 


諸外国と比較すると、日本の若者は今の自国の政治に「非常に関心がある」「どちらかといえば関心がある」を合わせると諸外国よりも少ないということが分かります。

そして「社会をよりよくするため、私は社会における問題の解決に関与したい」でも「そう思う」「どちらかといえばそう思う」が低い数値にあることが分かります。

「関心が薄いということはそれだけ政治が安定している証拠ではないか」という意見もあります。しかし、国民主権であるこの社会の中で、やはり政治に関心をもち、社会参画意識を高めていくことは大切でしょう。

現行の社会科の学習指導要領では、いくつかの内容に「選択・判断」という項目が入れられています。これは「社会

との関わりを意識して課題を追究したり解決したりする活動を充実し,知識や思考力等を基盤として社会の在り方や人間としての生き方について選択・判断する力」を育むことが求められているからです。やはり上記の国際比較の結果から考えても、小学校教育の段階から社会に目を向けることのできる子供を育てることが課題であると言えます。

この調査を見ると他にも気になることがあります。例えば次のような結果です。

 


「自分自身に満足している」や「自分には長所がある」という自己肯定感に関する項目でもいずれも低い数値を示していることです。

この自己肯定感に関しても小学校教育で、特に社会科指導に限らず子供たちの中に育んでいきたい内容であると言えます。

成年年齢の引き下げに伴い、社会の中で責任を果たしていくことが18歳という年齢から求められています。そのために「教育」という現場が果たす役割は大きいと言えます。

関東学院大学教育学部では将来小学校や幼稚園、保育園で子供たちとかかわる仕事を目指す若者たちが学んでいます。若者たちが自信をもって社会の参画を志すことができるよう、そういった直接の現場はもちろんのこと、社会全体で若者を支援していくことが必要であると言えるでしょう。

 

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