教育学部教員コラム vol.172

2022.07.28 こども発達学科 大﨑 裕子

教師をめざす、教師を続ける

2022年7月に入り、新型コロナウイルス第7波の感染拡大が続いています。2020年から始まったこのコロナ禍。大学の授業もオンライン授業となったり、実習の実施が困難な状況がうまれたり、教育学部にも様々な影響がありました。3年目になった今年は、幸い多くの授業が対面授業に戻り、4年次の小学校での教育実習も予定通りに行なわせていただくことができました。

教育実習を終えた学生達の多くは、その得難い経験の中から改めて教職の魅力を実感し、現場で出会った子ども達との楽しかったエピソードや、先生達のすばらしさを語ってくれます。

しかし、日本の教育界において喫緊の課題の一つには、教員不足が挙げられています。ここ数年、教員採用試験は倍率の低下が続いていますし、昨年度行われた初の全国調査では、4月時点で2,000人以上の教員が不足しているという現状も明らかとなりました。

教職のいわゆるブラック労働の実態も様々なメディアで取り上げられ、よく知られるところです。現役教員から教職の魅力をSNSを通じて発信して欲しいという意図で始められた文科省の「#教師のバトン」プロジェクトなどは、その意図に反して教育現場の厳しい実態を訴える声で占められているという皮肉な内容になっています。

教育実習を体験した学生達の中でも、「やりがいは感じる、だけどあの多忙すぎる仕事が果たして自分に務まるのだろうか」という本音が、現場を目の当たりにしたからこそ語られます。

いま、国では「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方について、養成・採用・研修レベルで議論がおこなわれています。個人の過剰な努力のみに頼らないで済むような持続可能な教職の世界はどう実現できるのか。目の前の教師の卵たちが、やりがい搾取といわれるような状況に陥らず、何十年後も教師を続けることができるようにするにはどうしたらよいのか。夢をもって教師をめざす学生達と一緒に考えていきたいと思います。

 

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