教育学部教員コラム vol.175

2022.10.25 こども発達学科 石渡 浩司

この秋に「どんぐり」から想ったこと

教育学部がある室の木キャンパスには、秋になると、(場所によっては)たくさんのどんぐりが落ちています。「マテバシイ」という椎の木がたくさんあるからです。

 

 

どんぐりを見ると思い出す絵本があります。『どんぐりの背比べ』(文: ヨシ、作画: 瑞・葉、文芸社)という絵本です。特にお薦めとか愛読しているとかいう絵本でもないのですが、その中にはこういう場面が出てきます。

 

木から落ちたどんぐりたちは、互いに「大きさや美しさ、形や背の高さを比べ合い、競い合うことに夢中になってしまい」、「中には憎み合い、殺し合うどんぐりまで出てきました。」

 

これは世界の国々、そして身近な集団あるあるだと思いますが、あとがきから、この理解は著者の意図に即しているようです(後者では殺し合いまでは通常無いと思いますが)。

 

これを読むと、誰が一番偉いかと議論をして、イエスから戒められた弟子たちの姿が思い浮かびます。イエスは「心を入れ替えて子どものようになるように」、と述べています(マタイによる福音書18章1~5節他)(子どもにもエゴはありますが、誰が一番偉いかという発想は通常無いと思います)。

 

絵本という分かりやすい媒体で、とても大切なメッセージを普段から子どもたちに伝えることができるのは、保育者ならではの喜びではないかと思います。

 

4年生秋学期開講の授業「教職実践演習」のクラスを一つ受け持っていますが、その中の一回の授業で、学生たちに絵本の読み聞かせの模擬演習をしてもらっています。4年生ともなるとそれぞれこだわり/お気に入りの絵本を持って来ますが、奥深いメッセージが込められたものはもとより、絵がとても素敵なもの、ユーモアのセンスが溢れたもの、クスッと笑えるオチがあるもの、「涙ホロもの」等々、改めて絵本の魅力を教えられます。

 

そういう絵本をたくさん子どもたちと共有できる保育者は本当に魅力的な仕事だと思うし、学校の教科等とは異なる仕方で、子どもたちの心や感性を育み、人間的な成長を促すことのできる保育者という仕事はとてもやりがいのある仕事なのではないかと思います。

 

私は保育を専門とする教員ではないのですが、保育者の仕事の魅力がこれを読まれる方、特に高校生の皆さんに、少しでも伝えられたら嬉しいなあ、と思い、今回これを書くことにしました。保育の魅力はもっともっと数え切れないくらいたくさんあると思っています。

 

※「室の木キャンパス」とは俗称で、正式名称は、「金沢八景(室の木)キャンパス」といいます。

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