教育学部教員コラム vol.180

2023.04.04 こども発達学科 伊藤 賀永

ご進学、ご進級おめでとうございます

新入生の皆さん、ご進学おめでとうございます。希望と期待に胸を膨らませて本学部に入学されたことと思います。楽しく、充実した大学生活が送れるように教職員一同応援していきたいと思います。また、在学生の皆さん、ご進級おめでとうございます。それぞれの夢の実現に向かって、今年度も勉学に勤しみ、多くの有意義な時間と経験を積み重ねてください。

さて、新しい出発と言えば、2023年の元日を古都奈良で迎えました。奈良と言えば、鹿と東大寺の 大仏が有名ですが、東大寺の元日には午前0時から8時まで通常閉められている大仏殿正面の中門と 中央の窓(桟唐戸)が開扉されます。今年はコロナ禍による入場制限のために中門は閉められたままでしたが、桟唐戸は開かれたので、右下の写真にあるように窓越しに大仏のご尊顔を拝することができました。暗闇の中で蝋燭の光に照らされた大仏は厳かで神々しく、いにしえの人々はその姿を見て、仏の慈悲と加護を信じ、自らの心の平安と生きる希望を得たに違いないと思いを馳せました。

東大寺の大仏は正式名を『銅造盧舎那仏座像』といい、第45代聖武天皇が「宇宙の中心から太陽のように照らし続ける」という意味を込めて建立しました。発願から完成まで9年の歳月と現在の価格にして4650億円強の費用を掛けて、のべ260万人が工事に関わった、全長約18mの巨大仏像です。

当時は貴族や豪族の争いごとが絶えず、政治情勢が不安定だった上に、飢饉や天然痘の大流行で民衆が疲弊し、不満と不安が極度に高まっていました。聖武天皇はそうした厳しい状況を仏教で打破すべく、諸国に国分寺や国分尼寺を作り、その仕上げとして総本山の東大寺にご本尊となる大仏を建立したと言われています。まさに「苦しい時の“仏”頼み」だったわけです。大仏の巨大さは当時の聖武天皇の苦悩の大きさと救済を希求する思いの強さの表れだったのかもしれません。

大仏が建立されて約1270年が経ちました。新型コロナウイルスの大流行、ウクライナ戦争、それに続く世界経済と政治の混迷や先行きの不透明感等、我々が直面している状況は当時と酷似しているように思えます。そんなこともあって、昨年までの暗く不穏な世情が一掃され、2023年が少しでも明るく穏やかな年になるように、“大仏様”に祈念して来ました。

(2022年12月31日日中の東大寺)                      (2023年1月1日午前0時半の東大寺)

 

参考文献

・“東大寺盧舎那仏像”. Wikipedia. (2023-03-10). https://ja.wikipedia.org/wiki/. (参照 2023-03-10)

・“奈良時代に大仏が造られた理由は?その大きさは?”. その他奈良時代情報. (2020-07-17). nara-jidai.com. (参照2023-03-10)

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