教育学部教員コラム vol.183

2023.06.27 こども発達学科 黒田 篤志

室の木キャンパスの自然 ~タマムシ~

 

 

室の木キャンパス前の道路を歩いていると、きれいな物が落ちていた。凝視すると動き始め、生物であることが判った。なんとタマムシではないか。記憶を辿る限り、生きたタマムシを見るのは初めてである。タマムシは、日本で200種以上の種が生存している。巷でタマムシと呼ばれている種は、正式には,ヤマトタマムシという。上の写真もヤマトタマムシである。ヤマト(大和)というが、日本のみならず、中国中南部から台湾、韓国にも生息している。国内では、北海道以外の本州、四国、九州、沖縄で見ることができる。

 

タマムシの特徴は、何と言っても、その体の色である。緑色の金属光沢色をしていて玉虫色と呼ばれている。この色は、構造色であるため、タマムシが死んだ後もその輝きがなくなることはない。そのため、昔より装飾品等にも使われてきた。皆さんも知っている奈良県法隆寺の国宝「玉虫厨子(たまむしのずし)」には、タマムシの羽が4800匹分使用されている。先述の構造色とは、光の波長程度の微細構造によって生じる発色現象のことである。微細構造により光が干渉、分光することで特別の色素をもたなくても発色して見えるのである。具体例として、コンパクトディスクの虹のような輝きは構造色のためである。

 

タマムシは、その美しさだけでなく、漢字で「吉丁虫」とも書かれるように、縁起の良い虫とされてきた。箪笥にタマムシを入れておくと着物が増えるという言い伝えもあり、光輝くタマムシに縁起的・神秘的な魅力を感じていたことが伺える。

 

受験生の皆さんは、これから開ける未来をどのような思いで迎えられるだろうか。自然豊かな関東学院大学室の木キャンパスで学ばれると、タマムシのように光り輝く未来が待っているかもしれない。

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