教育学部教員コラム vol.186

2023.09.26 こども発達学科 相田 紘孝

平等で公正で協同的な算数の授業をめざして

小学生が一番好きな教科と一番嫌いな教科は何でしょうか? 学研教育総合研究所が2022年に行った調査によれば、なんと答えは両方とも算数です。全学年平均で、一番好きな科目を算数と答えた子は22.5%、一番嫌いな科目を算数と答えた子は24.3%です。「算数嫌い」がしばしば問題にされますが、実は「算数好き」の子も「算数嫌い」の子と同じぐらいいるのです。

 

この調査からは、算数をめぐって、子どもたちの間に深刻な分断が存在することがわかります。特に男子と女子の間の分断は深刻です。全学年平均で、一番好きな科目を算数と答えた男子は30.3%、女子は14.7%です。そして、全学年平均で、一番嫌いな科目を算数と答えた男子は14.5%、女子は34.2%です。算数の授業で多数の男子(と一部の女子)が「ハイ、ハイ!」と挙手をしているとき、多数の女子(と一部の男子)は強烈な疎外感を覚えています。

 

算数の授業で優先するべきは、「算数嫌い」をなくすことよりも、「算数好き」と「算数嫌い」に分断されている子どもたちの関係をつなぐことです。そのために必要なのは、平等で公正で協同的な算数の授業です。

 

・一番好きな教科は何ですか

 

・一番嫌いな教科は何ですか

 

上記2件の表は、
学研教育総合研究所 (2022). 「8. 学習について 好きな教科/嫌いな教科」『小学生白書 Web版』学研教育総合研究所 https://www.gakken.co.jp/kyouikusouken/whitepaper/202209/chapter8/01.html
より引用。

 

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