教育学部教員コラム vol.188

2023.11.28 こども発達学科 三谷 大紀

子どもの視点で、いつもの道を歩いてみたら・・・・・・。

日常の保育のなかで、子どもたちは、よく「お散歩」にでかけます。でも、なんのためにお散歩にでかけるのでしょうか。お散歩を、子どもの興味・関心や園内でのあそびと連動させると、保育がよりおもしろくなっていきます。子どもの興味・関心やつぶやきを大切にしている園では、園の周りの人やモノ、場所を、自分たちの保育資源として生かしていきます。子どものあそびは、園内だけで完結させる必要はありません。むしろ、園外の本物の世界と出合うことによって、より深まっていっていきます。反対に、お散歩で生まれた問いや発見が、園内でのあそびの発展に繋がることもあります。そして、園外のさまざまな人やモノとの出合いを子どもとともに楽しむとき、子どもの興味・関心がより見え、子どもの理解がより深まるきっかけにもなるのです。

 

3年生の保育士資格必修の「子どもの理解と援助」という授業では、自分の住んでいる近所や大学までの通学路を、それぞれがあらためて子どもの視点で歩いて、子どもが「おもしろそう」と思いそうなモノや場所の写真を撮って持ち寄る回があります。そして、そこから生まれそうなあそびや興味・関心を語り合います。すると、普段では、気にも留めないようなモノや場所が、魅力的に見えてきてきます。写真(タイトル・コメント含む)は、学生たちが持ち寄った写真の一部です。皆さんも、自分の家の近所を子どもの視点で歩いてみると、いつもとは違った風景に見えてくるかもしれません。

 

さあ、子どもの視点でお散歩にでかけてみませんか?

 

 

タイトル:暗闇に何かいそう

・中が覗かないと分からないドキドキ感。暗くて見えない怖さ。何かが住んでいるかもしれない。普段は見ることのないところを見ることは、きっと面白い!

 

 

タイトル:異世界へ~川沿いにある高架下~

・違う空間に入るところ、異空間に面白さ、怖さや楽しさを感じそう。
・声が他の場所と違って響くところに面白さを感じそう。
・吸い込まれるようで、絵本や映画に出てきそうな場所。「ポニョに出てきたところみたい」「魚になっちゃう」などと子ども自身が知っている物語と関連付けたり、自分たちでお話を作ったりして通ることを楽しみそう。
・上を車が通った時の音を楽しみそう。振動なども感じて、園では感じることの少ない音との出会いがありそう。

 

 

タイトル:おうちがたくさん~~不動産のチラシ~

・家の写真と間取り図が書かれている部分に興味を持ちそう。普段見ることのない図がならんでいて不思議がりそう。

 

 

タイトル:建設中

・ホンモノの家づくり、その仕組み・その技は、つくることが大好きな子どもにとってきっと魅力的。

 

 

タイトル:こんなところに動物が!?

・子どもの目線になって歩いたらから気が付いた。何匹いるか数えても楽しそう。

 

 

タイトル:くるくるまわっている!

・回っていて、下から上に流れているように見える不思議なもの。上に行ったらどこに行ってしまうの?

 

 

タイトル:どんな顔?

・腐敗しかけていて伐採された切り株には空洞ができていた。この空洞が顔に見えるような気がする。身近にある自然から目に見えてくるカタチを表現する遊びになるかもしれない。街の顔探しをして、子どもたちにカメラを持ってもらいお散歩に出て、それぞれ面白い!何かに見える!と思ったモノを写真に撮っても楽しそう。

 

 

タイトル:もしかして、巨人の足跡かも!?

・子どもだったら、この石が、生き物の足跡(化石)に見えてくるかもしれない。見たこともない生き物や化石を探す遊びが生まれたり、自分の足、周りの人の足と見比べたり、足への興味も生まれそう。

 

 

タイトル:絵文字

・絵文字(ピクトグラム)への興味・関心が生まれそう。

 

 

タイトル:マンホール

・「おすい」ってなんだ?一体、僕らの住んでいる町の地面の下は、どうなっているんだ?という問いが生まれそう。

 

 

タイトル:自分が写った!

・子どもが赤信号で止まっている時に、丁度子どもの高さと同じくらいのポールがあって、自分の姿が変な形になってうつって見える。動いたり、顔を近づけたりして、楽しむ様子が生まれ、なんで形が変わるのか問いが生まれそう。

 

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