福田 真奈

担当科目

子どもと人間関係、家庭支援論、子育て支援総論、ほか

氏 名 福田 真奈(ふくだ まな)
所 属 こども発達学科
職 名 准教授
専攻分野 発達心理学、発達臨床心理学、こども学
最終学歴 お茶の水女子大学大学院人間文化研究科人間発達科学専攻博士課程 単位取得後満期退学
担当科目 子どもと人間関係、家庭支援論、子育て支援総論、乳児保育Ⅰ、子ども発達論Ⅱ、保育実習指導Ⅰ、ほか
長期研究テーマ 人との関わりを円滑にさせる要素は何か?
望ましいソーシャルサポートとは何か?
長期研究テーマ
内容
子どもの社会性の発達には個人の要因だけでなく、さまざまな環境要因が影響を及ぼしています。お子さんに似たような特質の傾向が見られていても、そのお子さんの家庭環境や友人関係、外的環境の違いによって、お子さんの経過に違いが見られ、外的要因の大きさに気が付かされます。人間関係は相互作用によって変容していきますので、相互作用が与える影響について興味を持っています。
私は大学内で実施された子育て支援の研究を行ってきました。子育て支援を行った学生が子どもや母親をどのように理解していったのか、学生自身の行動や意識の変化を明らかにすることによって、学生時代に子育て支援に取り組む意味を明らかにしてきました。学生が子どもの発達を継続的に学び、子どもとのかかわりの中で保護者とのやり取りできるといった子育て支援活動における意義が見出されました(福田, 2015; 2019)。
今後もサポート(支え合い)となれる環境の構築、子育て支援の中における意識や体験の変容やポジティブな情動を共有などに関して研究を進めていきたいと考えています。
短期研究テーマ (1) 学生の子ども理解を促す保育者の役割
(2) 保育者としての成長
(3) 多文化児童の適応
短期研究テーマ
内容
いざこざ事例に関する保育者の指導による学生の学びへの影響に関して明らかにしました。保育者のいざこざ事例に関する指導は少なく、実習生が介入していることが多いという結果でした。保育者がいざこざ介入している場合、保育者が指導している場合には、学生はいざこざの意味を学び、保育者の意図をくみ取っていました。保育者の指導の必要性を示していました(福田, 2016; 2018)。
保育者の成長として、保育者効力感の観点から、保育者効力感の高低群によって、どのような巡回訪問指導を希望しているか、学生が求めるサポートを検討しました。その結果、保育者効力感の高い学生は有意に支持的サポートを多く求め、保育者効力感の低い学生は支持的サポートが有意に少ないという結果が示されています(福田ら, 2019)。
学生が日誌や指導案の指導から何を学んでいるかを質的分析を行いました。その結果、保育士の指導では「子ども」だけでなく、「保育者」と「指導」など複数の共起が見られ、様々な観点から指導されていました。学生は「子ども」を主軸とした書き方に特化して取り組んでいました。このような傾向に対する取り組みが必要であると考えられます(福田ら, 2022)。
今後も学生の学びを支える保育者の援助を明らかにしていく予定です。
主要業績 福田真奈 (共著) (2022). 「保育者を目指す学生の振り返り ―自己評価と実習の目標に焦点をあてて―」『横浜創英大学研究論集』、9、37-43頁
福田真奈 (2021). 「カウンセリングの基礎知識」、内田利広 (編) 『教育相談の理論と実践』ふくろう出版、45-56頁 
福田真奈 (2021). 「心理教育」、内田利広 (編) 『教育相談の理論と実践』ふくろう出版、67-79頁
福田真奈 (2019). 「子育て支援に参加した学生の学び ―母親アンケートと学生アンケートを通した子育て支援プログラムの実践と学び―」『幼児教育学研究』、25、27-40頁
福田真奈 (2018). 「仲間関係の発達」、西方毅・福田真奈 (編) 『コンパクト版保育者養成シリーズ 新版 保育の心理学Ⅰ』一藝社、4-5, 73-80頁
福田真奈 (2018). 「道徳性と向社会性の発達」、西方毅・福田真奈 (編) 『コンパクト版保育者養成シリーズ 新版 保育の心理学Ⅰ』一藝社、81-88頁
福田真奈 (2017). 「保育者と学生はいざこざにどのように関わっているか ―いざこざへの介入と指導に着目して―」『白鷗大学教育学論集』、10(1)、69-94頁
ゼミの内容 子どもの心や行動を理解し援助するには、どのような視点を持ち関わっていけばよいのでしょうか。福田ゼミナールでは、子どもを理解し、子どもの生活を豊かにしていくために、発達心理学の観点から子ども理解をすることを試みます。子どもの心や行動がどのように明らかにされてきたか、またどのような方法を用いることにより結論が導き出されたのか、またそれらの研究がその後どのように発展してきたかなど、子どもの社会性の発達や子育て期のソーシャルサポートを扱っていきます。そして特に影響力のあった研究を概観し、発達心理学におけるさまざまな研究、理論、研究方法を知っていきます。また保育園見学、観察など子ども理解につながる取り組みを行っていく予定です。
皆様へ
メッセージ
世の中では子どもに関わる痛ましい事件が相次ぎ、虐待の世代間伝達が取り沙汰されています。虐待の世代間伝達とは虐待された体験が子どもへの虐待をもたらすことです。問題であるのは、虐待の世代間伝達あたかも決定的な要因であるかのように主張されることです(庄司, 2008)。虐待を受けて育った経験は虐待の重要なリスクではありますが、Kaufman & Zigler (1989) によればその程度は約30%と言われています。すなわち、自分が親になり、子どもの時の虐待経験を繰り返すがどうかは決定的ではないということです。
人間は他の動物のように、修正できないメカニズムを繰り返すのではなく、自分の受けた虐待体験を再認識し、その後他者と愛着関係を再形成できると言われています。虐待経験があったとしても、その後周囲の人とどのような人間関係を築いてきたか、またその人にサポートしてくれる他者の存在があったということが影響すると言われています。従来の愛着形成の理論では、母親への愛着から発生し、それがベースとなって他の人間関係へ派生していくと言われていました。しかし現在は、愛着の対象は一人ではなく、赤ちゃんは様々に異なった愛着や要求を求めて、それぞれの人と愛着関係を結んでいるということがわかってきています。子どもは社会的ネットワークの中で生まれ育っていきます。保護者のソーシャルサポートのネットワークを広げていくことは子どもの生活を支えることになるのです。保育者や教育者となる方は子どもへの関わりだけでなく、子どもにとって大きな人的環境である、保護者にとっての支えとは何か? どのようなサポートを提供すればよいのか? 人と人の支え合いとは何か? を考えていくことが必要になります。
子どもは受容的で無能な存在ではなく、有能で、自分の力で乗り越えていくことができる、無数の可能性を持った存在です。子どもたちの明るい未来を創れるように、子どもの可能性をどのように引き出せばよいかを考え、地域と連携し、私も微力ながら、努力をしていきたいと思います。
受験生へ
メッセージ
将来の職業やなりたい姿が明確になっている方は、大学で専門性を身につけられるように学んでいってほしいと思います。例えば保育士になりたい、教員になりたいと決めている場合には、その専門家になるべく、大学時代に研鑽を積んでいってください。将来のなりたい姿をを決めかねている方は、大学に入ってから自分の将来を決めていってもよいと思います。大学生の4年間は自分が何者になるのか?を模索し、悩みながら形成していく過程です。皆さんが保証人の方からいただいた、貴重で、かけがえのない時間です。共に学び、共に考えていく環境を用意したいと思っています。受験生の皆さん、未来に向かって頑張っていってください!
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