教育学部教員コラム vol.156
2021.03.02 こども発達学科 藤馬 享
小学校教員だった頃、6年生社会科「奈良の大仏」の授業で、「なぜ大仏が必要なの?全部の家に小仏を配った方がいい。」と児童が発言した。「それはいい。」「でも、小仏だと力がない。」等の考えが出され、「大仏を造ろうとした理由があるはず。」と追究が始まった。教科書の説明を読めばその理由につながることが書かれている。しかし、それでは理解したことにならないのは、上記の例からも明らかである。
これからの社会に生きる子どもたちには、定説とされていること、説明として書かれていることであっても、問いをもち様々な視点から考え皆が納得できるよう合意形成を図るような経験が大切ではないだろうか。従って、教員には、単に学習内容を理解させるのでなく、児童自ら問題を見つけ解決に必要な情報を収集し、その情報が正しいのか否かを吟味するなど、児童皆が協同して考える力を身に付けられるような指導力が求められていると考える。
本学では、1年生での1週間の教育実習と4年生での3週間以上の教育実習に加え、一昨年度から2,3年生での学校インターンシップ実習があり、学校現場での積み重ねがある。学生には、教師による学習指導方法や児童理解の具体の姿などから多くのことを学びながら自分自身に問題意識を持ち、講義で学んだこととつなげて考える姿が多く見られるようになった。先のような指導力の大切さを実感し成長していく姿が楽しみである。
横浜市立小学校長を退職後、5年間、本学で教員養成に携わることができたことは、大変ありがたかった。多くの皆様の支えで5年間を全うすることができた。本学に係る全てに心から感謝申し上げたい。