教育学部教員コラム vol.95
2015.09.01 こども発達学科 城倉 登代子
教員の専門である臨床心理学の領域の中から、普段のゼミナールでは発達検査を学んだり、ケース検討をしたりしている。将来的に他者に心理療法や教育を行なう立場となっていく前に、ゼミナールの中で逆に治療を受ける側の体験をすることも貴重であろう。そこで簡単に受けられるセラピーとして、今年は「森林セラピー」を選んだ。これは森林セラピーの間に呼吸法等を学び、森林浴の効果を前後の生理指標の比較によって実証する。
しかしながら今回の七沢森林公園においては、多くの学生がセラピー後の測定では副交感が下がって、ストレス点数が上がってしまった。水口ら(2012)にも「身体の負荷により、新たなストレスが発生する可能性」が指摘されている。森林ガイドによる山ヒルへの注意喚起や、優雅なお散歩ではなくてほぼ登山だったことなどが原因だろうか。それとも、セラピーの効果は生理指標では見られないのか。
いやカウンセリングも、自分と向き合うクライエントにとっては楽しいものではない。そう、本来のセラピーとは苦しいものなのだ。これが実感出来たことこそが、大きな収穫だったと信じたい。
水口陽子ら:森林セラピー及びノルディックウォーキング参加者の心身反応に関する研究 2012 医学と生物学156(4)212-218
城倉 登代子(こども発達学科)