教員紹介

教育学部教員コラム vol.29

2010.05.13 こども発達学科 所澤 保孝

成育と環境

生物の成育と環境との間には密接な関係がありそうだということは容易に推測できることだと思います。人間の子どもの成育も生態学的に捉えることができ、その子を取り巻く幾重もの同心円的な環境システムの相互作用が影響を及ぼしていると考えられます。

成育と環境との関係を具体的にランチュウという種類の金魚を例にとって調べて行ってみましょう。

 

ここで次のようなケースを考えてみましょう。60センチのガラス水槽に水道水を約30リッター入れて、その中に5センチ大の金魚を11尾入れて毎日体重の5%位の餌をコンスタントにやり続けるとどうなるでしょう?

まず第一に、水道水の中に直接入れたら塩素でエラを侵されて死んでしまうでしょう。例え、日にさらした水やハイポのような薬で水中の塩素を取り除いたとしても、11尾は過密状態です。水中の溶存酸素の不足で窒息死してしまうでしょう。人工的に酸素を送ってやることを考えたとしても、一日に体重の5%の量の餌はかなりの量です。魚が大きくなるのに十分な量の餌でしょう。

餌の量が少なければ成長はしませんし、多すぎれば食べ残した餌が水中に溶け込んで水を汚してしまいます。またこれだけの量を食べれば金魚も小便をしたり、糞をしたりして水中のアンモニア分が増えてしまい、魚の生命を脅かすでしょう。

 

このために、底に砂利を敷いたり、上置きの循環式ろ過器などを設置して、硝化細菌というバクテリアによりアンモニアを亜硝酸塩を経て硝酸塩に変換します。亜硝酸塩は魚にとって有害です。硝酸塩は栄養源として水草や青水に吸収させたりしますが、水槽内に蓄積されてゆきます。このような環境の悪化に対して一番簡単で確実な方法は、水温に応じて、何日かおきに水を入れ替えてやることです。

 

私の行った実験結果をご覧ください。

写真1は、60センチ水槽にランチュウを2尾、津軽錦という、一度は絶滅してしまった青森地方の地金魚、9尾を上置き循環式ろ過器と蛍光灯を使って室内で飼っているところです。

写真2は、庭で80リッターの大きなプラスチック・コンテナを使って3尾を飼っているところです。

写真3は、同じ親から産まれたものを異なった環境で1年飼育した結果です。小さい方の2尾は、写真1の水槽で津軽錦とともに1年飼ったものです。大きい方の1尾は、写真2の環境で1年間飼った個体です。

写真4は比較のために、写真3に4歳のほぼフルに成長した個体を入れたものです。目安に30センチの物差しが置いてあります。

 

私の実験はそれほど厳密なものではなく、大きさだけがランチュウの評価のポイントでもありませんが、同じ親から産まれた子どもを異なった環境で1年間飼育しただけでも、これほどの成長の差が出てくることが、一目瞭然にお分かりいただけるのではないかと思います。

 

 写真1  写真2

 

 写真3  写真4

 

所澤 保孝(人間発達学科)

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